ネタバレ注意!アメリカ人が作った奇妙なポケモン実写映画「名探偵ピカチュウ」の感想
アメリカ人が日本に押しつけたプレゼントした憲法が施行されて72年目の記念日に、アメリカ人はまたもや日本に奇妙な贈り物を届けてくれた。
それがポケモン映画の新作、ハリウッド実写版「名探偵ピカチュウ」だ。
ピカチュウが主人公なのだが、なにやらリアルな人間が登場してーー。
3次元に多大なトラウマを持つゲームマニアたちは、予告映像を見ただけでストレスで胃腸炎を起こすかもしれない。
これはスクールカーストにおけるギークにダメージを与えるような映画なのだろうか?
あるいはポケモンの新たな「黒歴史」?
私は調査すべく、映画館に足を運んだ。
監督はロブ・レターマン、制作会社はレジェンダリー・ピクチャーズ。つまりアメリカ人が作ってる。
ポケモンを生んだ日本へのリスペクトから、アメリカよりも日本で先に公開されたようだ。
トランスフォーマーやゴジラみたいな感じだね。
※ネタバレが嫌な人は、最後のまとめの部分だけ読んで欲しい。
名探偵ピカチュウってなによ?
元々は3DS向けに配信された、実験的なポケモンのゲーム作品だった。
おっさん声で人語を話すピカチュウは、大谷育江ボイスを生まれる前から聞いていた人達に衝撃を与えた。
その後、パッケージ化された続編が登場し、見事にシリーズ化。
そしてなんと、アメリカ人が「これはいける」と思ったようで、実写映画化に至った。
ポケモン原作に対する熱いリスペクト
アメリカ人は、日本人と感覚がだいぶ違うので、ポケモンを曲解しているのではないか、とお思いの方もいるであろう。
実際「ポケットモンスター」が卑しいスラングだからちょっと怪しい所はある。
まず3DCGのポケモン達がとてもリアルだからね。
ただ、ピカチュウのボイスはちゃんと大谷育江さんも起用されているし、カビゴンは道を塞いでるし、モンスターボールだって一瞬だが出てくる。ヒロインがポケモンGOのコスプレをしたりするし。
3DCGのポケモンもよく見ると、皮膚などはリアルな質感だが輪郭はちゃんと原作のポケモンそのままになっている。
映画全体としては、全米で邦画史上最高のヒットを記録した「ミュウツーの逆襲」の影響が色濃く出ている。
特にミュウツーはカッコよく描かれていた。ここまでカッコいいと本家の「ミュウツーの逆襲」リメイクの方がしょぼく見えないか心配ではある。
以下は、ネタバレありの感想など。
実写映画「名探偵ピカチュウ」の序盤あらすじ
ポケモンにトラウマを持つ主人公、ティムの元に父の訃報が届く。
突然の父の死にショックを受けるティムは、父のパートナーポケモンだったピカチュウと出会う。
しかし、なんとそのピカチュウは、ティムだけに理解できる人間の言葉を話すのであった……。
ティムとピカチュウは、父の死にまつわる謎を解明すべく、行動をはじめる。
実写映画「名探偵ピカチュウ」の登場人物・登場ポケモンと、それぞれの印象
ティム
主人公。トラウマを抱えまくりの21歳の青年。ポケモンも苦手。
日本のアニメだと引きこもりキャラになりそうだが、保険屋で働いている。
全くギーク(オタク)ではないが、女性の前ではDT丸出しで、見ていて共感性羞恥になった。
声は東京ヴェルディユースでプロサッカー選手を目指していた、竹内涼真。
ピカチュウ
原作ゲームでは英国紳士風のキャラだったが、より陽気で皮肉や軽口を叩く「ジ・アメリカン」なキャラになった。記憶喪失で、電気技が使えない単なるネズミだ。
ピカチュウの言葉が理解できるのはティムだけで、他の人にはいつもの大谷育江ボイスに聴こえるようだ。
ルーシー
ヒロイン。新米記者で情報収集能力に長けている。
慎重派だが、監視カメラなどを全く考慮せず行動するなど、割とマヌケ。
ポケモンGOの女主人公のようなコスチュームを着るシーンも。
顔が若干若い頃の林原めぐみに似てる。
コダック
CV愛河里花子
アニメ版と同じ。頭痛がひどくなると暴れる。
ミュウツー
カッコいい。影の主役。スマブラSPなどよりさらに筋肉質なスタイルになった。殴り合いにも強そうだ。ボイスはダブルキャスト(DBのゴテンクスやベジットみたいな感じ)で、男声は山寺宏一氏だった。
能力も、原作より多芸多才になっている。というか、もうなんでもアリ。やっぱりミュウツーがナンバーワン!
リザードン
筆者の嫁ポケ。
今作ではDQNトレーナーのパートナーで、噛ませ犬ポジション。イマイチパッとしない役回り。いかにも爬虫類っぽい皮膚も、イマイチパッとしない。
ゲッコウガ
人気ポケモンだが、今回の映画ではゾンビ映画の中ボスのような扱い。舌もやや気持ち悪くなってる。ファンがキレないか心配である。
ドダイトス
怪獣映画レベルに成長した。
フシギダネ
なんか癒し枠。
ネマシュ
意味深な感じに出てきて、特に何もしなかった。
カラカラ
主人公のパートナーになり損ねた、孤独ポケモン。
カビゴン
車がたくさん走る道路で寝て、道を塞いでる。原作リスペクトを感じた。
体中にカビが生えてるからカビゴンなのかな、と今更に思った。
カイリキー
めっちゃいい筋肉してる。毛が生えていないためか、ほとんど日本版と印象が変わらないポケモン。
プリン
こちらは見た目が日本版よりだいぶキモキャラになっている。声だけはかないみかさん。
メタモン
チートポケモン。遺伝子操作で超強化されてるボスキャラ。人間にも変身できるし、その場にいないポケモンにも変身できる。遺伝子操作、すごいね!
何故かミュウツーには変身しない。
エイパム
怪しいガスの最初の犠牲者。主人公の服を脱がすのを楽しむ。
顔が若干「テレタビーズ」を思い出す。
バリヤード
予告の時点で「キモい」と言われていたが、その通りだった。
ゲンガー
登場シーンはわずかだが、顔芸、かげぶんしん、シャドーボールなど破竹の活躍。
ヨシダ警部補
日本人がいるな~ってよく見たら渡辺謙だった。
ブルー
ヨシダ警部補のパートナー。めっちゃディズニーなどの映画にいそうな「一見怖そうだけど実はいい奴」ポジションぽかった。特に活躍しなかった。
偉そうなジイさん
金持ちのジイさんで、アメリカ映画に出てくるイギリス人。
こう言えば、もうどういう役回りかお分かりだろう。
壮大な計画を立てるも、脇が甘すぎた。
イーブイ→ブースター
ジイさんのアピールのためだけに何故か進化させられた。
若社長(偉そうなジイさんの息子)
声がコジロウの三木眞一郎で、いかにも悪党の風格である。
女性の研究者
声がムサシの林原めぐみ。真面目そうだが、ちょっとおドジ。セリフがある登場シーンは一回だけ。
竹内涼真
一瞬だけレッドのような格好で登場するトレーナー。イケメン。
残念な点、ややモヤっとした点など。
- リザードンやゲッコウガなど、人気ポケモンの扱いが悪い。
- クライマックスでラスボスの脇が甘すぎた。壮大な計画を建てたくせに、自らの護衛はメタモン一匹にしたのは無謀だった。
- 最後のガスを吸ったポケモンたちが、あまり狂暴化しなかった。
- ピカチュウがミュウツーとある程度戦えていたのは、ラスボスがミュウツーの体になれていなかったせいか?(悟空の体を手に入れたばかりのギニュー状態)
- 若社長のキャラがいまいちつかめずに終わったこと。
- イマイチ尺が足りないか?あと10分くらいあっても良かった。
- ピカチュウの正体は「なるほど~」と納得したし感動もしたが、同時に「主人公とピカチュウとの友情じゃなかったのか?」とモヤモヤした気持ちにもなったこと。
- ドダイトスを使えばもっと大胆な計画ができたのでは?何のためにデカくしてたの?
---ネタバレここまで---
映画「名探偵ピカチュウ」の感想・レビューまとめ
ファミリー向けアメリカ映画らしく大雑把な所やツッコミ所はあるけれど、ポケモンへの愛は本物だった。
ポケモンファンは安心して楽しんでいい。
ただ、ポケモンを全然知らない人や興味がない人にとっては、「平凡なイマドキの映画」かもしれない。
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