アニメ・ポケットモンスター薄明の翼とは
ソード・シールドの新しいWebアニメポケモンは、「薄明の翼」というタイトルでガラル地方の若者たちの群像劇になるのだとか。
「薄命」じゃないぞ。「薄明」とは、日の出前や日の入り前の薄明るい空を指す言葉である。
薄明の翼:公式サイト
ポケモンアニメをOLMが作らない、という衝撃
そして驚いたことに、制作は「スタジオコロリド」。
OLMじゃない所が作るようだぞ!
ポケモンのアニメと言えば、サトシとピカチュウがブラウン管デビューして以来、ずっとOLMが作ってきた。
OLM公式サイトhttps://www.olm.co.jp/
以前にもTVアニメと無関係のWeb外伝、「ポケモンジェネレーションズ」があったが、結局はあれもOLMが手掛けた。
「THE OLIGIN」や「みんなの物語」、「ミュウツーの逆襲 EVOLUTION」では他社との共同制作という形はとったものの、アニメポケモンにOLMの名は常に刻まれてきた。
OLMはポケモンが始まった当初は、マイナーなアニメスタジオだった。
それが今ではポケモンのほかにも、妖怪ウォッチ、イナズマイレブン、ベイブレード、ゾイドと……今やキッズアニメと言えば東映、サンライズにも負けないブランドに成長した。
アニメ会社は、ゲーム会社ほどブランディングに成功はしていないが、ゲーム会社に例えるならこうだ。
まるで無名のデベロッパーの名を冠したマリオの公式新作アクションが出るような衝撃なのである。
あ、ゲームフリーク以外の所が作ったポケモン派生作品はいっぱいあるから、そんなに驚かないけどね。
待て、この例えはイマイチだったか。じゃあSUBARUが作った86?AMDが作ったCore i 7?そう例えれば、衝撃度が分かってもらえるだろうか。
薄明の翼を作る「スタジオコロリド」とは
さて、このスタジオコロリドとはいかなる会社なのだろうか。
スタジオコロリド:https://colorido.co.jp/
まず分かりやすい所では、昨年話題になったアニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」を作った会社らしい。
この作品は私も見た。勉強熱心な小学生男子が、不思議なお姉さんの胸に夢中になるという作品だった。そこに同級生の女子が加わって三角関係になったりね。
超大作かと言われれば、そうでもないのだが、キャラクター描写も、映像も、ストーリーも、しっかりと観客を楽しませてくれる作品だった。
少なくともドラクエ・ユアストーリーよりは100倍おもしろい映画だった。
「台風のノルダ」というアニメも、予告編を見て気になっていたが、ついぞ見なかった。
ただ何故だろう。我々はこのアニメを見たことがある気がする。「天気の子」のようにね。
また大塚製薬と組んで、カロリーメイトのPRアニメを作ったこともある。こちらはYouTubeですぐに見られる。
カロリーメイトweb movie|「すすめ、カロリーナ。」本篇
将棋の女流棋士カロリーナ・ステチェンスカさんという、実在人物が主人公だ。
ドキュメンタリーアニメとなっているが、彼女の想像が具現化した少し不思議な世界が混ざっている。
これらの作品を見ると「現実世界の日常風景に、少しだけファンタジーを混ぜる」、そんな作風のスタジオのようだ。
薄明の翼の監督について
薄明の翼の監督は、山下清悟(しんご)監督。1987年生まれの32歳。
以前「けものフレンズ」で話題になったたつき監督のような、「個の力」で色々やってしまうタイプの監督のようである。
作画Wikiより:https://w.atwiki.jp/sakuga/pages/1451.html
NARUTOなどの原画を通し、若くして名を挙げた経歴をもつ。
OLMに縁深い人物かと思ったが、全くそんなことはなかった。
TVアニメで監督をした経験はなく、近年はショートアニメ、特に短いプロモーションアニメの制作に携わることが多い。
短い尺で1人であれもこれもこなしてしまうタイプらしい。ソシャゲのOPなど、手描きからCGまで、1人でこなしてしまう。
だいぶ時期を逸した感じがありますがFGO 4周年記念映像の原画やってました。自分のパートは3Dも自分で組んでカメラマップまでの仕事でしたので仮組映像(撮影未処理)も入れてます。(時間なく撮れなかったのでマルタさんの仮組はないです…)みなさんが活躍しいてて素晴らしい現場でした…! pic.twitter.com/ejXrQUkf09
— 山下清悟 Shingo Yamashita (@yama_ic) August 20, 2019
この本人ツイートを見れば、すぐに彼がとてつもないクリエイターであることが分かる。
ポケモンが彼に依頼したのも納得である。
ちなみにFGO4周年の完成版はこちら。
薄明の翼、脚本について
脚本担当の、木下爽さんという人物については、特にデータがなかった。
同名のイラストレーターのツイッターを見たが、公式発表になんのリアクションもしてないことから別人だろう。
おそらく、無名の新進気鋭のクリエイターじゃないだろうか。
憶測の域を出ないが、webで同人活動をしていた人の別名義とか。
脚本監修の岸本卓氏は、「うさぎドロップ」「僕だけがいない街」「ハイキュー」「マギ」「はねバド」「フルーツバスケット(2019版)」など、漫画原作のアニメのシリーズ構成で、大活躍中の脚本家だ。
ウィキペディアより:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%B8%E6%9C%AC%E5%8D%93
そして、これらの作品の共通点は、若者たちの葛藤を描いていることだ。薄明の翼のテーマともマッチする。
また、オリジナル脚本では「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所」を担当した。
これは私も観た。未知の生物を助ける少年少女達のジュブナイルストーリーで、初代「デジモン」アニメのような雰囲気があった。
残念ながら鑑賞時、両隣りに座った大人がダメなヤツらで、映画を見ながらスマホでずっとモンストをやっていたので、私は密かにキレていた。
逆に、その大人に連れられた子供はとても礼儀正しく映画を見ていて、どちらが子供かわからなかった。
そんな思い出もあったがね。いずれにせよ、ただの子供向けアニメでは無かった。
薄明の翼でも、そういった味を出してくるだろうね。
薄明の翼のキャラデザについて
キャラデザの小笠原真(しん)さんという名前で検索すると、サンデーで連載している漫画家が出てくるが、彼は別人のようだ。
どうやらWHITE FOXの出身のアニメーターで、同社の「ヨルムンガンド」などの動画に参加していた。
そこから「ワンパンマン」や「アイドルマスター シンデレラガールズ」などの原画を担当。
作画Wikiより:https://w.atwiki.jp/sakuga/pages/1836.html
すまんが、どんな作画になるかわからない。
ワンパンマンのOPを担当しているから、それを見て雰囲気を掴むことくらいはできるだろう
その他のスタッフ
3DCGを務める高橋将人さんは、「幼女戦記」のCGなどを担当。
アニメWikiより:https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/6671.html
音響監督の三間雅文さんは、ポケモンアニメに詳しい方ならご存じだろう。
初代からTVアニメのポケモン、及び劇場版で音響を担当している。やっと見知ったスタッフが登場した。
ウィキペディアより:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%96%93%E9%9B%85%E6%96%87
薄明の翼についてのまとめ
- OLMが制作ではない。
- 若く才能あふれるスタジオと監督が制作する。
- 脚本家はおそらく若く無名だが、その人をベテランが補佐する形になる。
- 若者の葛藤や苦悩を描いた、ちょっと大人向けの作風になりそう。