記事タイトルを見て悪質な懐古主義記事だと思った方がいたら、誤解させぬようにしておこう。
これは私の主観的な回顧録で懐古そのものであり、客観的な内容など一切含まれていない。
私がスマブラと歩んだ道
さて、ニンテンドースイッチの大乱闘スマッシュブラザーズ(以下スマブラ)が発表された。
1999年にニンテンドー64の「ニンテンドーオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ」が出た当時、まだ私は小学生だった。
当時、ニンテンドー64は子供たちの間では有難い存在であり、週末になるとメッカの巡礼者達のように、私の家には大量に小学生がやってきた。
その小学生の中に、私のライバルがいた。性格も互いに少し似たところがあり、スマブラが同じくらいの実力だった。
私はそいつに勝つためにスマブラを練習しまくった。まあ私の方が、ほんの少しだけそいつよりも強かったんじゃないかと記憶しているが、あいつを倒すという事こそ毎日スマブラに打ち込むモチベーションになっていた。
ただし、その練習というのがまた今思い出すとお粗末なものだった。CPUレベル9を相手に奴との対人戦をひたすらシミュレートしていた。
結局は最大レベルのCPUなど全く相手にならない程上達したのだが、当時のAIなどたかが知れている。まるで効果的な練習じゃなかったな、と今なら断言できる。だが勘弁してほしい。当時はオンライン環境なんて存在しなかったし、私は一人っ子だった。
家でできる練習なんてそれが限界だった。そう考えると、今のオンライン対戦が当たり前の時代に生まれた現代っ子達は本当に羨ましい。多少ラグが気になるとはいえね。
そして時代はゲームキューブへと進化する。2001年の「大乱闘スマッシュブラザーズDX」発売時には、私も中学に上がっていた。
DXは素晴らしいスマブラだった。初代の大雑把だった所が、DXではほとんど改善され、より繊細な対戦ゲームへと進化したのだ。
もちろん私のライバルも中学に上がり、同じように進化したスマブラを一緒に遊んでいた。
だが高校に上がるとどうだろう、私と彼は別々な高校に入り、次第に疎遠になっていった。最初は前と同じようにウチに来ていた彼も、ある日を境にパタンと来なくなってしまった。
それから十数年。そいつとは連絡すら取っていない。哀しいことだがね。
その間、2008年にWiiで「大乱闘スマッシュブラザーズX」が発売した。
その頃私は大学生だった。当時私はろくに友人付き合いもしない、ロクでもないタイプだった。
でもそんな私のようなボッチでも楽しめるように、任天堂はオンライン対戦モードをつけてくれた。ただし、当時にしても、任天堂のオンライン対戦はかなり時代遅れだった。
4人対戦モード中に誰かが切断すると、その時点でゲームが強制終了した。
接続が不安定でラグも多く切れやすかったが、わざと切断するロクでもない人間が全員に迷惑をかけられる素晴らしいシステムだったのだ。
ランクマッチのような仕組みもなく、切断こそが正義だった。
それから、走っていると低確率でずっこけることがあるとかいうシステムも、本当に意味が分からなかった。
きっとこれを実装した奴は、サッカー選手が荒れたピッチに足を取られて怪我をするのを見るのが好きな、悪趣味な奴だったのだろう。
そんな環境のゲームだったので、私は早々にオンラインプレイには見切りをつけた。そして未来を信じた。
「今はまだゴミのようなオンライン対戦環境だが、未来はきっと良くなるはずだ」と。
そこから更に6年の時が流れた2014年、「大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS/Wii U」が発売した。
最初に言っておこう。これは素晴らしいゲームだ。
オンライン対戦の環境も整備され、携帯機と据え置きの両方で楽しめるのは画期的だった。ずっこけるシステムも多分なくなった。
ただ、私の方に問題があったのだ。
その頃になると私もまた別なライバルを見つけていたのだが、何しろネットでの関係性。そして学生ではなくなり、中々対戦する機会もない。
そしてオンライン対戦。そこで私は無力な自分と対面することになった。終点の1対1でとにかく勝てない勝てない。3割も勝てなかったんじゃなかろうか。
小学生の頃の「自分は最強なんじゃないか」という思い込みなど、井の中の蛙だったと言うほかない。
そして同時期にWiiUには「スプラトゥーン」があった。私はその斬新なシステムと世界観のTPSにハマり、スマブラは"オールドファッションド"なゲームに思えてしまっていた。
周囲でも、スプラトゥーンに熱狂する人は多くいたが、スマブラ4に夢中な人は見かけなかった。
流行に流されるのはつまらない人間のありかただろう。しかしながら、当時スマブラ4にスプラトゥーン以上の楽しさを見出せなかったのは確かだ。
DXの頃からあまり変わってない、その割には2バージョンあるし価格が高くなったなあ、と感じてしまったのだ。
あとはそうだな、キャラが増えすぎて混乱してしまったのもあるな。
64のスマブラは何がすごいゲームだったか?
スマブラが人気を博したのは、任天堂が格ゲーというジャンルに新しい形を産み出したことにあるだろう。
スマブラでは、従来の格ゲーのイメージ「難しいコマンドばかり」「狭い画面内での殴り合い」「初心者お断り・マニア向け」というイメージを払拭するための、様々な新しい試みがあった。
レバーをガチャガチャ動かさないといけないコマンド等なく、画面はカメラのズームアップ・ズームアウトの連続により広々と感じられ、アイテムによっては初心者でも上級者に勝つこともある。
こういう話になると格ゲーマニアは必ず「スマブラは格ゲーではない、対戦アクションゲームだ」と狭量なことを言うが、そんな事ばかり言っているから格ゲーは衰退したのだろう。
実際スマブラは格ゲーの祭典EVOの種目にもなっているし、立派な格ゲーだ。
そんな議論はさておき、何と言ってもスマブラの贅沢な点は、任天堂が歴史の中で積み重ねてきたキャラクター達が集結する点だ。
当時純粋な私は「任天堂のキャラが集結するなんてすごいゲームだ」と思ったものだ。
だが歳を重ね、すっかり俗世間に染まった私が当時のスマブラを見たら……「任天堂もこういう商法できたか」と思ったかもしれない。
当時もそんなことをいう輩はいたはずだ。だがそんな懐疑的な声など一瞬で忘れられた。スマブラが圧倒的に斬新で、かつ面白かったからだ。
当時のインパクトは、最近で言えばスプラトゥーン1が出た時に近い。
スイッチ版スマブラで、私も海外配信者のような喜びを味わうことができるか?
スイッチのスマブラ発表時の、海外の動画配信者などの凄まじい喜び方を見てほしい。
日本の子供をディズニーランドに連れて行って、その帰りにニンテンドースイッチをプレゼントしたって、こんな喜び方はしない。
視聴者を意識して、多少オーバーに振舞っている人もいるのだろう。だが、日本人が新作ゲームの発表で一瞬足りともここまでのテンションになれるだろうか。
正直言って、彼らの野生的な歓喜は羨ましい。こちらまで嬉しくなってくる。
私も彼らのように、またスマブラで熱くなれる日が来るだろうか。
流石に“Oh my God”を連呼する程の喜び方はないだろうが、スイッチスマブラが出た暁には、燃えるような新鮮な気持ちで、楽しみたい。
ハッキリ言って、最近の任天堂はすごい。というかニンテンドースイッチがすごい。ニンテンドーラボの新しいプロモーションを見た時は、少し鳥肌が立った。
そんな任天堂だからこそ、新作では"圧倒的な"スマブラになってほしい。そう強く期待したい。
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