昨年より格段に進化したポケモンの祭典、PJCS2018
昨年、私はポケモンの日本最大の大会であるJCS2017に訪れて驚いた。あまりにもハコが小さかったからだ。
てっきり私は東京ビッグサイトで行われると思っていた。しかしその大会は付近のビルでひっそりと開催された。
見知らぬインディーズバンドのライブ会場ではない。ダブルミリオンが当たり前の売り上げを誇る、誰もが知るビデオゲームの日本一を決める大会だ。
そんな去年だったから、今年の開催地が幕張メッセと知っても、私はにわかには信じなかった。きっとその隣のイオンモールの屋上ででも粛々と開催するに違いない、と。
だが行ってみたら、本当に幕張メッセで開催されている。流石に2ホール分だけだったが、大した進化だった。
アメリカと比べたら大したことはない?そんな野暮は言いっこなしだ。大会になんらかの大きな投資が行われたことは素直に喜ばしいことだ。
さらに今年は2日制になり、2日目はサイドイベントが充実。
当日参加可能なものとしては、ワンデーシングル大会、シングルとダブルのフライトバトル、カードゲームのフライトバトル、カードのティーチングなどがあった。
シングルワンデー大会に参加して
闘会議2017のワンデー大会でベスト4、という実績がプチ自慢である私は、事前にテスト勉強をしなかった学生のように、当日になってPTを完成させた。
が、甘くはなかった。しっかり予習をしてきたトレーナー相手に2連敗してしまった。
特に初戦で戦った人などは、ツボツボを軸にしたPTを半年前から愛用し続けているらしく、ツボツボについて熱く語る彼は見ていて眩しかった。
私はまたもベスト4に行けちゃうんじゃないかと、心のどこかで安易に考えていた。己の甘さを反省し、3戦目に臨んだのだが。
幼子との戦い
その3戦目の相手というのが、小学校中学年の男の子だった。
対戦前に「ポケモンはGTSで交換してもらった」と豪語する彼を前にして、私は嫌な予感がした。
もしもこれがブラフだとしたら末恐ろしいお子様だが、スイスドロー形式ゆえ彼も2連敗中なのは間違いない。恐らくは三値を知らない純真な子供だ。
私は、小さな子供にはポケモンバトルの楽しさを教えたい、という使命感は持っている。このブログを書いているのもその感情があるからだ。
少し子供には長くて読みづらい記事が多いのは自覚しているがね。
ただ同時に、同じ大会に出ていて、対戦する以上は真剣に戦わなければならない。
私は「手加減」程失礼なことはないと考えている。
相手が少女だろうが高齢者だろうが、全力で戦うことが礼儀だと信じている。
そして私は、後ろめたさを感じながらも、その少年を全力で倒した。少し泣きそうになっていたが泣かなかったので、強い子だったと思う。
そのかわりアフターケア、試合後のコミュニケーションだけはしっかりとろうと心がけていた。
今は幼くとも、未来は私のライバルかもしれないし、世界王者かもしれない。その可能性の芽を摘んではならないと。
「大人に負けるのは当たり前だ、君はその歳にしては強い。相手が何をしたいのかな、って考えながら戦うんだ」
勝者の立場で言うことでもないかもしれないが、そんな言葉をかけずにはいられなかった。
まあそんな言葉が効いたのかどうかは分からないが、その男の子は次の試合で「勝った!」と喜んでいた。良かった。
統一パの使い手
で、私の4戦目、霊統一パの使い手だった。
彼は「なぜこんな厨ポケを使っている人が2回も負けたのだろう」と思ったに違いない。
私は彼が何をやってくるか分からず、今回も負けか、と覚悟したが、どうやらリザードンが刺さっていたらしく、幸運にも勝てた。
彼は自分で考えたオリジナルの型のヤミラミを使っていた。
こういうエンタメ精神、開拓精神はポケモンバトルを遊ぶ大きなエネルギーになる。私も以前の大会では7世代では絶滅したファイアローを使っていた。
またあの頃のようなフロンティア精神を思い出していきたい。
5戦目はGG(グッドゲーム)
そして5戦目、相手はスターミー使いだった。
これがまたいい勝負だった。負けた彼は不満だったかもしれないが、私にとってはこの日のベストバウトだった。
「こごえるかぜ」「じゅうりょく」の起点作りスターミーに、「さいみんじゅつZ」「ほたるび」のデンジュモク、「つるぎのまい」を積むガブリアスというエース構築。
対する私は、デンジュモクを重く見てリザードンX、霊獣ボルトロス、霊獣ランドロスを選出。
一見対面重視の並びに見えて、サイクル指向の並びのため積み技に非常に弱い。
全員電気耐性があるのにも関わらずデンジュモクが非常に辛かった。
不利な展開ではあったが、霊獣ボルトロスの「サイコキネシス」でデンジュモクを落とせたのは大きかった。
これだけでも来てよかった、と思えた一戦であった。
結果は3勝2敗で終わった。
ダブルバトルフライトバトルは良い経験に
私は次にダブルのフライトバトルとやらに参戦した。
4人1組になってリーグ戦を行うバトルだ。特に優勝を決めたりはしない。
と言っても、シングル大会の後すぐに参加したわけではない。WCS予選敗退したPTに、いかに改良を加えるかと悩んでいたのだ。
結局、使いなれたエルフーン・ゲンガー・ジャラランガ・ガオガエンの並びにサンダーとカプ・コケコを加えた偏った並びを採用した。
結果?1勝2敗だった。トリル対策ができてないのと、ミラーに対しての弱さが露呈した。
私の前のグループにはリア充カップルもいたので、和気あいあいとした雰囲気で行われるものだろうとばかり思っていたが、いかにもポケモン対戦をやる雰囲気の男達(私も含め)が集合した。
その中には、どこかで見たようなトレーナーの方もいた。対戦後話を聞くと、彼は前日のJCSに参加していたらしい。
4人の中では明らかに構築もプレイングも突出しており、良い経験になった。
全国はまだ遠い場所のようだ。
そして全ての対戦が終わると、対戦前の重たい空気は何処へやら。和やかなムードに包まれた。
ネットでしか知らないと、何か恐ろしいイメージのあるポケモン対戦界だが、実際に会うとみんな気のいいヤツらなのだ。そりゃあ中には例外もいるだろうがね。
ポケモンカードティーチング 久しぶりのポケカは楽しかった。
さて、ダブルバトルも終わり、帰ろうかと考えていたが、まだ気になる場所があった。
それはポケモンカード部門だ。
ただ私はデッキを持ってない。それどころか、十数年間プレイもしていない。
そんな私がプレイできる場所はないだろう、と未練がましく近くをウロウロしていた所、呼び込みのお姉さんが声をかけてくれた。
「ポケモンカードやったことありますか?」、と。
私は「ずっと昔にやっていました」と答えた。
そしたらティーチングというものがあるらしく、カードを持っていない人にも教えてくれるらしい。
ティーチング自体は昔からあったものだが、私のような年齢の人間にも教えてくれるとは知らなんだ。
まあそれだけ、ポケモン界も高齢化社会になってきているのかもしれない。そういえば最近のポケカのコマーシャルは、やけにスタイリッシュで大人向けだったことと思い出した。
いざティーチングコーナーに行ってみると、非常にノリのいいお姉さんと会話が弾んだ。
私はさながらデイサービスに通う高齢者だった。
「裏面が変わった直後までやってました」
「ポケモンexが出てきたころまでやってました」
「昔はカメックスのあまごいが強かったですね」
「昔で言ったら偽オーキド博士みたいなカードですね」
昔は、昔は――。こんな昔話していた私は、間違いなくポケモン界の高齢者である。
だってしょうがない。昔話は楽しいのだから。
そしてこの話に付き合ってくれたお姉さんが、素晴らしかった。仕事でやっているのだとはいえ、熟練の知識で私の話を理解してくれた。
さて、対戦であるが、同じデッキを使ってのに指導対戦も関わらず、全くドローに恵まれず2連敗した。
ソルガレオやルナアーラ、シルヴァディなどを早く展開させた方が勝つデッキだったらしいが、それらはサイドに堕ちてしまっていた。
だが私はこの日一番楽しかった。別に勝ち負けなどどうでもいい試合で、人と昔話をしながら、ゲームで遊ぶことは素晴らしいのだ。
これを思い出せただけでも、この日来た意味はあった。
10代の時以来忘れていた、ポケモンカードへの情熱も思い出した。今度は昔話では後ろ向きだから、未来の話でもしようか――。
そんな充実した気持ちで幕張メッセを後にしたのだった。