ロックマン11はロックマンのナンバリングタイトルだから素晴らしい
他に何か言うことが?
そんじょそこらのインディーズや新興ブランドの作品ではない。
ロックマンは、CAPCOMが30年の歴史とともに育ててきた世界のブランドだ。
では何故、そんな素晴らしいIPをCAPCOMは10年近く放っておいたのかって?
それは売れなもとい、過去作が十分素晴らしいからもう手を加える必要がなかったのだ。
わかったよ。このままだといい歳をしたおじさんの世迷言だと思われかねないから、ちょっと真面目なレビューを書こう。
ファミコン時代の装いを再現するのはやめ、新たなビジュアルへ
「ロックマン9」と「10」は確かに素晴らしかった。だが、あのビジュアルは"過去を懐かしむ人のためのモノ"に過ぎなかった。世代にはたまらないビジュアルだったが、子供にとってはさぞや古臭く見えただろう。
ロックマンはCAPCOMを代表するIPだ。
他のCAPCOMを代表するIP、「ストリートファイター」も「バイオハザード」も「モンスターハンター」も、時とともにグラフィックが進化した。
「じゃあロックマンだけ過去に囚われたままでいいのか?」そう自答したCAPCOMは、再びロックマンを歩ませ始めた。未来へと。
ロックマン11は、言わば「ロックマンは過去のゲームではない。CAPCOMの代表作は今も生きている」と宣言するために発売された。
そのために、「11」はグラフィックをイマドキの3DCGアニメ風に進化させた。CGなのに手描きアニメに見える感じのやつだ。
ボイスも「8」以来に実装され、ボスとの戦闘はとにかくド派手になった。まさにアニメの世界に入り込んでいる感じがする。
あえて背景を暗めにして、ロックマンや敵キャラを見やすくしているのも見事な点だ。
これがCAPCOMがたどり着いた31年目のロックマンだ。
受け入れるのに少し時間が要る新システム、「ダブルギア」
ロックマン11には、少し“厄介な”新システムが導入された。
現代にも通用するゲームにするため、ビジュアルだけでなくシステムにもメスを入れたのだ。それがギアシステム。
まあやることは単純だ。周りの時間を遅くする「スピードギア」と火力を上げる「パワーギア」。そしてそれを同時に発動できる「ダブルギア」。
「なんだ、そんなことか」と思った人は、たぶん若い。
しかしながら30年間このようなシステムがない環境で育った人間にとっては、すぐに受け入れるのは難しかった。スマートフォンを受け入れられない高齢世代の気持ちが少し分かった気がする。
ただ、時間はかかったが、私は受け入れられた。確かに最初は居心地の悪さはあった。あれほど「ハンバーガーにピクルスは入れないで!」って連呼したのに、ピクルスを入れられた時みたいなね。
最初はそう、CAPCOMはお節介過ぎるオカンかと思った。
でも気づいたんだ。「別にこのシステムは使わなくてもいいんだ」と。ピクルスが嫌いだったら残せば良かったんだ。
昔のロックマンをやっていた人達はもう大人なんだから、お残しをしても母親や先生に口うるさく怒られる心配はない。え、そんなことない?
まあ「ギア」はこれ使わないと厳しい!という場面もあるが、それはほんのちょっとだ。一瞬だ。
で、使ってみると案外悪くない。ピクルスは食べられないままだが、「スピードギア!」と叫ぶロックに合わせて時間の流れを操るのは楽しい。
このギアシステムは、私に更なるエキサイティングをもたらしてくれた。
最高の横2Dスクロールアクションを目指して
何を隠そう、私が初めて遊んだナンバリングタイトルは「ロックマン7」だ。
ほら、これを明かすと往年のロックマンファンには石を投げられるんだよな。言わなきゃよかった。
でも過去作だって大体やった。1番最初に遊んでやりこんだのは「ロックマンワールド5」だって言ったら、また異端扱いされそうなもんだが。
まあとにかく、ロックマン11は冷静に見れば、完全に過去作を超えた。
FCロックマン、特にロックマン2は最高だと言われている。
が、そういう人たちは実はロックマンが滑りやすかったり、処理落ちがひどかったり、一部の面では背景がごちゃごちゃしてて見づらかったり、コントローラが使いづらかったりという欠点の数々はなぜか忘れている。
ロックマン11が、そんな過去作の欠点を無くしたとかいうのは当然の話だ。
ロックマン11はさらにその先で試行錯誤している。「どうすれば最高に気持ちよくやりがいのある横2Dスクロールアクションになるか」という禅問答の末、ようやくたどり着いた答えであると言える。「10」から8年もかけてね。
それは単純な答えだった。
操作性を気持ちよくする、画面を見やすくする、ゲームの難易度を理不尽過ぎず簡単過ぎず上手くバランス調整する……それを突き詰めたのがロックマン11だ。
特にバランス調整という点だ。
「難しい、けれどもう少しでなんとかなるんじゃないか?」というさじ加減が絶妙である!よく仕上げたと感服している。まあ一部にダメなステージもあるがね!
この「バランス調整がよくできている」という点は、マーケティングには使いづらいし、説明するのも難しい。「ギア」も本来このバランス調整のために存在するものなのだが、新要素のための新要素として見られがちである。
まず各々が体験版をプレイして感じてみるしかないだろう。それか、私の言葉を鵜呑みにしてもいいし。
初心者でも安心「NEW COMER」モード
私はこのゲームは「ORIGINAL SPEC」で遊ぶのを推奨する。それは「ギリギリで攻略していく楽しさ」という本来の面白さが詰まっているからだ。
が、それは今どきのライトユーザーには辛いかもしれない。
ロックマン11には、誰でも攻略できるレベルの「NEW COMER」という難易度が存在する。
このモードは、以下のような特徴がある。
- 敵からの被ダメージが小さい。
- 残機が無限。
- 穴に落ちてもビートが助けてくれる。
- チェックポイントが頻繁に存在する。
- アイテムがたくさんドロップする。
- ギアを使える時間が長い。
めちゃくちゃ簡単だ。どのくらい簡単かと言えば、あのミライアカリですらE缶なしでボス1体を倒せるレベルだ。
ロックマンを全くやったことがないであろう女性も安心して遊べる。
戦争は終わり、SwitchでもPS4でも箱でもPCでも遊べる
ロックマンは「8」や「X4」でSFCからPS・SSに移籍してしまったことがあった。長年連れ添った任天堂からソニー達のもとへ行ってしまった。
そして「9」で任天堂ハードのWiiに戻ってきた時は、国内でのみ、PS3やXbox360ではWii版配信から9か月後まで配信されなかった。
裏切ったの裏切られたの、血で血を洗う時代があった。だがそんな"ハード間戦争"も今では過去の物である。
平和な現代では、ロックマンは任天堂、ソニーのハード両方で遊ぶことができる。どちらを選ぶかもユーザーに任されている。それどころか、XboxOneやPCでだって遊べる。
「そんなこともあったね」
戦争は終わり、そう言って笑いあえる時代になった。我々が今生きている時代に感謝せねば。
まあ、ロックマンの戦いはいつになっても終わらないが……。あとSEGAという尊い犠牲があったことは忘れてはいけないね。
どのハードも体験版が配信されているはずなので、慎重な人はそれを遊んでからプレイするハードを決めればいい。
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