Detroit:Become Humanは神ゲー
まず始めに伝えておこう。 Detroit:Become Humanは神ゲーだ。
少なくともADVとして、2018年のベストゲームだ。
PS4を持っている人には強くオススメしたい。
シンプルな説明
デトロイトは今から20年後の世界。人にそっくりなロボット、アンドロイドが当たり前に存在する近未来のアメリカ。
貴方はそんなあるかもしれない未来のアンドロイドとなって、あらゆる決断をしながら未来を作っていく。
このゲームはフランスはパリのクアンティック・ドリームが開発した。プライドと創造性に溢れたフランス人達は、従来の日本製ADVに飽きてきた人にも、新鮮な体験を与えてくれるだろう。
これ以後は、私がデトロイトを楽しむうえで重要だと感じる7つの素晴らしい点を挙げていこう。
なおDetroit:Become Humanのを誉めちぎる記事ならもう見飽きた、という人は、Detroit:Become Humanのツッコミどころまで飛ばして読んでほしい。(クリックorタップでも飛べる)
Detroit:Become Humanを楽しむうえで重要な7つのこと
1:ADVとして目指すべき進化の形。
日本のアドベンチャーゲームというと、女の子は本当にかわいいのだが、「ときめきメモリアル」から20年以上経っても"紙芝居"から脱却できないでいる。
「シュタインズゲート」のようにシナリオの良いゲームは多数あれど、進化してもアニメパートの追加などいかにも日本人的な発想にとどまり、何故かゲームシステムを根本から見直そうという発想がない。または発想はあっても予算や人員の都合で挑戦しようという気になれないのだろう。
デトロイトでは、そもそもテキストを読ませようという発想は捨てて、プレイヤーを映画の世界に引きずり込むにはどうすればいいか?という方法論でスタートした。
日本の美少女ゲームもこの路線を目指して欲しいと切に願うよ。キャラや背景をアニメ調にして、私をアニメの世界に引きずりこんでくれ。
2: 緻密なグラフィック、モーションキャプチャーでリアルさを追求。
さて、私が昨年ハマったフランス製のゲームは「Life is Strange」だった。
デトロイトはライフイズストレンジですらも、過去の物にしてしまった。
デトロイトの緻密なグラフィックをみたあとにLISのグラフィックを見ると、まるであっちの方がアンドロイドの集団じゃないかと思えてしまう。
LISも素晴らしいのだが、デトロイトのグラフィックはそれとは比較にならないほどリアルで、美しい。モーションキャプチャーで緻密に再現された動きもだ。
3:あのボタンもこのボタンも使っちゃえ!
本作では、PS4コントローラーの持つポテンシャルを最大限に引き出そうと努力してくれている。
「全部スティックでカーソルを動かして〇ボタンで決定でいいじゃないの?」
クアンティック・ドリームはそんな「当たり前」を良しとしない。
ドアを開ける操作にしてもスティックをひねらせたがるし、タブレットを操作する場面ではタッチパッドを使わせたがる。
何かをつかむシーンではR2とL2の同時押しをさせたがり、戦闘シーンでは「どのボタンを押せばいいかな?」ゲームが突然始まる。
場合によってはこれらの操作はどんなゲームより難しいものになる。
4:3人の主人公を交代でプレイしていく
デトロイトには3人の主人公がおり、1パートごとに主人公が順番に交代しながらストーリーが進んでいく。
まず刑事アンドロイドのコナーになって、不良おっさん刑事と捜査するパート。
次に家事アンドロイドのカーラになって、虐待されてる幼女をおじさんから守ったりするパート。
そして介護アンドロイドのマーカスになって、お金持ちで偏屈ながらも優しいおじいさんを介護するパート。
それぞれの章は15分~40分くらいで終わり、1プレイ当たりの区切りの目安としてもちょうどよい。
キリが良いところまで遊べるのも、ADVとして非常に優秀な点だ。
5:複雑なフローチャート、そしてそれを可視化できるシステム
実はこれが本作の最大の魅力と言える。
オープンシナリオアドベンチャーと銘打たれた本作は分岐がとにかく複雑である。
様々なことを選択していっても、どこでどうフラグが立ったのか分からなくなってはやりがいがないよな。
デトロイトではそんな心配はいらない。1つの章が終わるたび毎回、自分の選択がどうだったのか、どれがフラグだったのかをフローチャートとして可視化して見せてくれる。15分~40分のパートが終わるたび、すぐさま、毎回だ。
これが、私のようなデータ好きな人間にとっては、このゲームの魅力を決定的にしている。
自分が選んだ選択は全世界の人の中で何%だったのかを知ることもできるし、まだ解放していない選択に思いを馳せることもできる。
6:起承転結の"承"がない、急転直下のストーリー
少しネタバレになってしまうかもしれないが、デトロイトは穏やかに進むのかと思いきや、急に話がとんでもない方向に進む。
別の主人公視点になって、今度は「失敗しないようにしなきゃ」と思ったのにまた上手くいかない。
常に「私は何かを間違えてしまったのでは」と思いながらも、話はどんどん進んでいく。
まあ、あまり語りすぎるのも何なので、ここら辺は自分でプレイしてくれ。
7:裏テーマの1つは「銃」
デトロイトでは、度々「銃」が登場する。流石は世界一銃乱射事件が多い国アメリカを舞台にしたゲームだ。
当然、銃が登場するのは和やかな日常の場面ではない。切迫した命のかかった場面である。
それなのに銃はあらゆる場面で、家に遊びに来る友達のように、気軽に登場してプレイヤーを誘惑する。「俺を使えよ」とプレイヤーに囁いてくる。
様々な局面で、このゲームは銃を使うか使わないか?撃つか撃たないか?といった選択をプレイヤーに迫ってくる。
この選択が非常に悩ましいのだ。「人殺しなんてまっぴらだ」と思っていても、銃が手元にあるとどうしてもそれを「使う」選択肢が出てくる。
つくづく、銃は魔物である。「殺人」という最大の禁忌を銃は気軽なものにしてしまう。
銃を使えば相手を思い通りにできるだろう、なんて考えがいかに浅はかであるか、このゲームをやれば体験できる。
デトロイトは「撃つ」とどうなるか、「撃つ」ことの意味も教えてくれるゲームだ。
そういった意味では、気軽に銃乱射ができるグランド・セフト・オートとは対極のゲームでもある。
Detroit:Become Humanのツッコミどころ
さて、このゲームは素晴らしい神ゲーである。
しかし用心深い読者さんは「そんなに良いところばかりのゲームってある?」とお疑いだろう。
私のブログはわざとらしいTVショッピングとは違う。なので、デトロイトのアホな点も挙げたい。
※この記事ではネタバレには気を配っているが、性質上ネタバレになりかねないので注意されたし。
1:1週間で色々起こり過ぎ
このゲーム、実はスタートからラストまで1週間くらいしかない。
詳しくは避けるが、1週間で色々起こり過ぎでは?というツッコミを入れたい。
まあ、平和な日常なんてものは、危うい吊り橋の上に立っている状態に過ぎないのかもしれない。
2:アンドロイドに厳しい奴、嫌な奴が多過ぎ
ドラえもんなどを見て育った日本人は、もう少しアンドロイドに対して親しみがあるのではないだろうか。
フランス人が作り、アメリカを舞台にしたデトロイトでは、出てくる人間の9割くらいはアンドロイドに対して厳しい。罵声ならまだかわいい方で、殴る蹴るは当たり前。銃を向けてくる事もある。
逆によくここまでアンドロイドを「モノ」扱いできるな、とも感じた。
そこは日本と西洋の価値観の違いがあるのだろう。
あらゆるものに魂が宿るという日本に対し、西洋では人間と人間以外をハッキリ区別する。
西洋には有色人種を人間扱いしなかったという負の歴史もある。それをアンドロイドでまた繰り返してしまう未来を案じているのかも。
ドラえもんとのび太のような、あるいはルールーとえみるのような「自分たちはこんなに仲良しなのに」というアンドロイドと人間がもう少しいても良かったんじゃなかろうか?
私が性善説を信じ過ぎているだけか?おかげでほとんどの人間が畜生に見える。
↑仲良しなアンドロイドと人間の例
3:マーカスの能力がチート過ぎ
ネタバレは避ける記事のため、詳細はまたにするが、マーカスは途中から異世界転生モノの主人公のようなチート能力を身につける。
主人公補正なのだろうが、いくらなんでもあの能力強過ぎ。発動条件もかなり緩いのか、指パッチンしただけでもOKだ。
4:登場人物あっさり死に過ぎ
え、こんなことで死ぬの!?何度そう思わされたか。とにかくあっさりキャラが死にまくるゲームだ。Fate/stay nightよりも死ぬかもしれない。
特に主人公の1人のコナーはしょっちゅう死ぬが、彼だけは綾波レイのように特別で、死んだら新しい個体が用意される。
その際に前のやつの記憶を引き継いでいるんだかいないんだか、それも綾波っぽい。
最後に
とまあ、ツッコミどころもあり鬱展開も多いDetroit:Become Humanであるが、これまでにない体験を得られる神ゲーである。それだけは私はハッキリと伝えたい。
だから貴方も「そのうちやる」なんて言わずに、できるだけ早くこの2018年に生まれた素晴らしい作品をプレイしてみてほしい。