eスポーツがオリンピック種目に採用されるとしたら、どのタイトル?
eスポーツは今月まで開催されたアジア大会でエキシビション種目として認められ、4年後は正式種目になるという。
一方で国内では国体で採用されて、最近では学生の大会すらも開かれるようになった。
さて、こうなるといよいよオリンピック種目としても採用されるかどうか、という期待が高まる。
eスポーツの、ビデオゲームのトップ選手達がオリンピックメダリストとして、社会的地位を得られる時代がやってくるのだろうか。
だが一方で、IOCのトーマス・バッハ会長が我々ビデオゲーマーにとっては、厳しい声明を出した。
参照リンク:IOC委員長、e-Sports一部ジャンルのオリンピック導入へ課題述べる―「殺人テーマのゲームは受け入れられない」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
要約すると「『殺人ゲーム』はオリンピックにふさわしくない」というものだ。
確かに、人類平和の象徴であるオリンピックにとって、暴力や殺人表現などふさわしくない。
ところで本当に、eスポーツとされているタイトルは殺人ゲームだらけなのだろうか。
私はeスポーツティアー 2018を参考に、オリンピックに採用されるにふさわしいゲームか否かを「暴力的か」という観点で検証してみた。
参照リンク:
FPS・TPS
カウンターストライクGO(Counter-Strike: Global Offensive)
×完全アウト
明らかな殺人ゲームであり、IOCのバッハ会長の前でこのゲームをプレゼンしようものなら、繊細な心を持つ会長は心筋梗塞で倒れてしまうだろう。
カウンターストライクシリーズと言えばFPSの教科書のようなシリーズ。私も10年以上前、FPSを始めたての頃は"レッスン"を受けたが、明らかに銃で敵プレイヤーを抹殺するのを楽しむゲームである。
当時、私は敵がダウンする挙動が滑稽で、それを見て笑い転げながらプレイしていたからね。
いくらゲームと現実は違うとはいえ、64歳のバッハ会長に理解してもらうのは極めて困難だろう。
コール・オブ・デューティ:WW2(Call of Duty: WWII)
レインボーシックスシージ(Tom Clancy’s Rainbow Six Siege)
PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
H1Z1
×すべて完全アウト
同上。
フォートナイト・バトルロイヤル
×アウト
カウンターストライクやPUBGなどよりはアニメ的でマイルドな表現とはいえ、実銃で敵を倒すところは共通している。
見ていてもやっていてもスリリングなゲームなのだが。バッハ会長もプレイしてみればいいのに。
ワールド・オブ・タンクス(World of Tanks)
×戦車がアウト
戦車は戦争を想起させるからダメだろう。オリンピック種目はシリアの人でも楽しめるものでなくてはならない。
キャラクターをガルパンに差し替えればワンチャンスある。
オーバーウォッチ(Overwatch)
△ 少し内容を変えればあるいは?
「ヒーローが世界を救う」のがテーマのゲームであるゆえ、オリンピック精神にも乗っ取っている。
ゲーム内では過去にオリンピック仕様のイベントも開催され、各キャラクターがオリンピックを盛り上げる格好になることだってできる。
これはむしろIOC側が「ぜひ採用させて欲しい」と頼み込んで来ても良いゲームである。
でも、ゲーム内で「キル」という単語を使ってしまっているので、穏やかなバッハ会長はこの単語を聞いた瞬間に怒り狂うかもしれない。
「キル」の部分をなんとかオリンピック仕様にできればいいのだが。あとリーパーなどはめちゃくちゃ口が悪いので、そこもよろしくない。
オリンピック種目になるには、少しいじる必要があるだろう。リーパーも綺麗になってもらわないとなウルトは「」
他のFPSよりは、まだ可能性がある。
HALO5
△他のに比べれば?
光線銃で機械を撃ち合うようなゲームだから、他のFPSに比べたらまだ採用しやすいだろう。
スポーツゲーム
FIFA18
〇暴力的でないという意味では完全セーフ
これは現状では最もオリンピックに近いゲームだ。もしこのゲームが暴力的だと言うのならば、世界で最も人気があるサッカーですらオリンピックに出る資格はなくなってしまう。
FIFA18のライバルであるウイニングイレブンがアジア大会や国体で採用されていることからも、他のゲームよりも暴力性を気にしなくて良いことが伺える。
ルールがわかりやすいのもいい。だってサッカーと同じだからね。
このゲームで採用が難しい理由があるとすれば、様々な権利関係だ。ゲームの著作権のみならず、肖像権の問題もある。
リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドに大量のお金を払わなければ、オリンピックでの中継が許されない可能性がある。
ロケットリーグ(Rocket League)
〇暴力性ゼロ!
このゲームには暴力など皆無だ。
そしてFIFA18やウイイレとは違って「サッカー見ればよくね?」という疑問も完全に封じている。
このゲームはルールがわかりやすいだけでなく、現実ではありえないような映像を楽しむことができる。
もしあなたが64歳のトーマス・バッハ氏だとしても、空飛ぶクルマによるサッカーをオリンピックで見たいだろう?
実はオリンピック種目に一番近いビデオゲームなのではないか。
格闘ゲーム
ストリートファイターV
鉄拳7
ドラゴンボールファイターズZ
大乱闘スマッシュブラザーズDX
×全部アウト
我らが日本製ゲームが名を連ねる格闘ゲームも、バッハ会長の下ではすべて不採用だろう。
キャラの版権などは、今回は問題にしていない。論点は「暴力的であるかどうか」だけだ。
これを見た読者の方は、「ボクシングだって五輪種目なのだから、格ゲーだって問題ないじゃないか!」と考えておられるだろう。
私も同感だ。しかし聖職者のように優しい心を持つバッハ会長は、長い歴史を持つボクシングですらオリンピックにふさわしくないと考えているようだ。
参照リンク:五輪=ボクシング、20年東京大会から除外も | ロイター
やがてはレスリングや柔道やテコンドーもふさわしくないと言い出すのも時間の問題だろう。
だがフェンシングだけは大丈夫だ。なぜなら、会長がフェンシング選手だったからだ。
MOBA
はじめに、私はMOBAには明るくないのだが、今回の記事を書くにあたって調査してきた。
と言ってもLOLとDOTA2
リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)
〇暴力性は薄い
このゲーム自体、暴力性は薄いように思える。確かに魔法やら武器やらで敵キャラを抹殺しているようだが、フェンシングよりはよっぽど平和的だ。
何をやっているのかちょっと覚えるのが大変だけどね。
ま、暴力的なプレイヤーが多いという噂は聞くが、仮にオリンピックに出るような選手ともなれば、素行もよくなるだろう。
もし多少問題があったとしても「チッ、うっせーな。反省してまーす」と謝れば何も問題はない。この話題とは全く何の関係もないが、國母和宏選手は後輩に慕われている素晴らしい人物だ。
DOTA2
〇暴力性は薄い
LOLよりは若干派手で暴力性も上がったかもしれないが、それでもフェンシングよりはおとなしい。
LOLよりもビジュアルがおっかないので、心臓が弱いバッハ会長がおびえてしまわないか心配だがね。
オリンピック種目になれそうなゲームまとめ
主に暴力性が薄いという理由でオリンピック種目になれそうなビデオゲームをまとめた。
- ロケットリーグ
- FIFA18
- LOL
- DOTA2
まあ結局のところ、メーカーとの版権問題など色々絡むビデオゲームが、オリンピック種目になるのは当分先になるだろう、とは予測する。
バッハ会長がこういう声明を出してしまった以上、彼の在任期間にeスポーツが五輪種目に採用される可能性は極めて低い。
参考リンク: eスポーツ、五輪競技には不採用(木曽崇) - 個人 - Yahoo!ニュース
仮にeスポーツ界がオリンピックには認められなくても、あるいはモータースポーツのように、独自の道で巨大になっていくのかもしれない。
巨額マネーが動く、F1やインディカーみたいにね。