アニメポケモンサンムーンのグズマの話題
今回はどうでもいいことかもしれないが、一部の人にとってはどうでもよくなさそうな話題を扱おう。それはアニメポケモンサンムーンの136話。
原作ゲームで自分を責めていたグズマが、アニメではグソクムシャを責めるようになった、ということだ。
「なにをやってんだよ!グソクムシャぁ!」
これに対し、ゲームのグズマファンは納得がいかなかったかもしれない。
ついアニメのスタッフを責めるような失礼なことも言ってしまった人もいるようだ。
だが、私はアニメを何も見ずに「原作改変」だと声を荒げるのは、いささかフェアな見方ではないと感じている。
グズマがグソクムシャにキレた理由
直接の原因:グソクムシャのムーブが酷かった
グソクムシャは特性「ききかいひ」で「だいもんじ」をくらう直前に勝手にハッサムと交代した。
突然でてきたハッサム、一致4倍弱点を喰らって何もできず落ちる。
これに対し「グズマはグソクムシャの特性を知らなかった」という人もいるが、別にそうでもないだろう。
ゲームのグソクムシャの「ききかいひ」は攻撃を喰らった後に交代する特性だからだ。攻撃を喰らう直前に引っ込まれるなど、グズマも想定外だったに違いない。
もしゲーム内でこのようなムーブをされたら、温厚な私でもキレていることだろう。
それにこの直前、グズマは「 アクア……」と言いかけてやめている。スイレン戦のように「アクアブレイク」で「だいもんじ」をぶった斬って優位に立つ作戦だったか。
あるいは隠していた「アクアジェット」があったのかもしれない。
まあ、グソクムシャが攻撃を喰らう前に逃げないように特訓しておけばよかった、というならそれまでだが。
これまでプラン通りに戦えていたのに、想定していたプランが一瞬で崩れ、一気に後がない状況に追い込まれたからこその、グソクムシャへの激情だった。
間接的な原因1:大会の準決勝というただでさえ重圧のかかる試合
このサトシとの試合は、単なる野良試合ではない。
初代アローラ王者をかけた重要な大会の準決勝だ。
偉ぶってはいても、グズマもガラスの10代。
相当な重圧を抱えていたことが、ハッサムが戦闘不能になった瞬間の描写で伺えた。
間接的な原因2:過去に優勝を逃してきたトラウマ
アニメオリジナル設定で、「グズマは過去にいろいろな大会で準優勝どまりで、そのトロフィーを破壊した」という事実が、プルメリの回想から明らかになった。
グズマは態度には表せぬど、過去に何度も悔しい思いをして、それを拭い去りたい思いで今回の大会に参加したのだろう。
また同じ結末を迎えてしまうと感じた瞬間、彼は我を忘れて取り乱したのだと推測される。
つまりあの瞬間、隠していた本当の自分を見せた、とも言えるだろう。
間接的な原因3:グズマを「不敗伝説」だと信じている子分たちからのプレッシャー
スカル団の下っ端達は、のんきと言うか純粋と言うか、「グズマさんは勝つ、不敗伝説だ」と微塵も疑っていないようだ。
下っ端らはサトシが「グズマに勝つ」と言っただけでキレ出す程で、その事がグズマの更なるプレッシャーになっていた。
もっとも、下っ端たちに悪気はなく、準優勝のトロフィーなどを下っ端には秘密にしておいたグズマのコミュニケーション力に、やや問題がある。
実力があるが故の、中々勝てないジレンマ
実際、アニメのグズマは、強豪トレーナーだ。
イリマのメガガルーラ、スイレンのアシレーヌという難敵を打ち破ってきた。
アシレーヌには「じごくづき」で音技を封じ、ニャヒートに対面したハッサムに「とんぼがえり」で対面を整えていた。
見かけによらず、理にかなった、熟練のゲームメイクをしている。ゲームだとただの危ない若者なイメージがあったが、アニメでは割と冷静な一面が目立つ。
それだけ、彼が経験豊富なトレーナーである証だ。
が、それだけ経験があって後一歩で勝てないことが、いら立ちに繋がっている。
勝負に真剣な故の怒り。等身大の男子グズマ
ややメタ的だが、グズマは悪役故、ポケモンバトルに取り組む者の、ネガティヴな面を見せる役割を与えられている。
とどのつまり、「真剣に勝ちたい」という気持ちが、時に見苦しい態度になってしまうということだ。
とくにゲーム対戦ガチ勢には、想定していたプランが一瞬で崩れ(技外しなどで)、一気に後がない状況に追い込まれたという状況を思い出せば、グズマの怒りも理解できるのではないか。
ポケモンガチ勢男子の厄介な部分を集めたのが、アニメのグズマなのかもしれない。
故にグズマという男子は、むしろ私はアニメでより魅力的に描かれていると感じている。
「ゲームからの改変だ」と感情的になる前に、ぜひ冷静な視点で、年相応で等身大のグズマを見てあげて欲しい。