ポケモン剣盾はイギリス要素をふんだんに取り入れることで、新しさを目指した
ポケモンソードシールド(剣盾)の購入を迷ってる皆さん、こんにちは。
まず初めに伝えたいのは、ポケモン剣盾は、英国(イギリス)要素をふんだんに取り入れることで、進化を目指したポケモンだということだ。
それに加えポケモンが巨大化するダイマックスと、オープンワールドのワイルドエリアが、本作の中心的要素となっている。
保守的なポケモンをどう改革していくかという答えが、舞台のお国柄を強調することだった
ポケモンとは保守的なゲームだ。
ファンがそうあることを望んでいるからである。それが今回の、全種のポケモンが登場しないことで、より明らかになった。
ゼルダの伝説のように大胆な改革をすることはできない。
戦闘はコマンド式で、8つのジムを周り、チャンピオンを目指していく。
では、グラフィックを新しくしたり、バトルの新要素を出す以外に、どう新しくしていくべきなのだろうか?
ゲームフリークは剣盾で、「イギリスの文化や歴史」に着目し、そこから今作の新作に個性を持たせることにしたのである。
幸いにも、ゲーフリにはジェイムス・ターナーというイギリス人のスタッフがいる。
【公式】イラストメイキング第五弾 ジェイムス・ターナー × TEMBO THE BADASS ELEPHANT【#ゲームフリーク ひみつきち#17】
彼は今作で、アートディレクターに就任し、英国らしさを存分に表現してくれている。
なお、これはブラック・ホワイトの頃から、ずっと同じようなことはしていた。
BWはニューヨーク、XYではパリ、サンムーンではハワイの世界観を、ポケモン世界に取り入れたからね。
ただ、今作ではその土地のお国柄要素を、今までより色濃く取り入れたのだ。
剣盾はあらゆる面が英国(イギリス)
さて、イギリスといえば何をイメージするだろうか。
- 長い歴史
- サッカー
- 産業革命
- ロックバンド
- 紅茶
- アーサー王伝説
- 美しい風景
- ブラックジョーク
- 三枚舌外交
- まずい料理
そして一般的なイギリス人のイメージといえば。
- 紳士的
- 傲慢
- 社交的
- 皮肉屋
- 雑
- 笑いのネタが不謹慎
- ぶっ飛んだ発想
ゲーフリは、剣盾の舞台であるガラル地方に、これら英国的な要素を、詰め込めるだけ詰め込んだ。
英国的要素1、サッカー
例えばサッカー⚽️。
今作のジムはスタジアムとなり、イングランド・プレミアリーグの熱狂的な雰囲気を再現している。
現にスタジアムではポケモンバトルとサッカーの試合の両方ができるとか。
満員のスタジアムで、監修が主人公やジムリーダー達を熱く応援してくれる。
BGMもチャント(応援歌)のようなものが流れ、これまでにない雰囲気となった。
この雰囲気は最高だね。
英国的要素2、美しいイギリスらしい景色
イギリスの田園風景、湖水地方、港町、城、伝統と近代が混ざった、歴史を感じさせる都会の景色。
どんなに剣盾をおとしめたい人でも、この素晴らしい景色のグラフィックだけは否定することはできない。
これらは、実に素晴らしいものだ。
ただ、ゼルダの伝説BotWやスカイリムのような、「異世界の空気」を感じることはない。ワイルドエリアを除き、視点変更ができないからだ。
通常時は、あくまで従来のポケモンに英国的要素を取り入れたうえで、グラフィックを進化させたのだ。
また、英国的という観点からはズレるが、もちろんポケモン達のグラフィックも進化している。
新規にモデリングされた、新しいポケモンの方が、モデリングでは優遇されている。
が、既存のポケモン達も、モデリングはそのままながらも、よりアニメ的でモフモフしたスキンにブラッシュアップされた。
例えばヌメルゴンだったら、よりぬめぬめした感じになっている。
ただ、リザードンがモフモフ感を出してきたのは少し違うと思ったし、ギルガルドのような鋼タイプも、もっとサテンの効いたメタリックな感じにして欲しかったがね。
そのような解釈違いにおける不満も、ある。
英国的要素3 ブラックユーモア
英国らしい皮肉の効いたブラックユーモアの代表は、化石ポケモンだ。巷ではカセキメラだ、なんて呼ばれている。
パッチラゴン、パッチルドン、ウオノラゴン、ウオチルドン 。
彼らは上半身と下半身が別々のポケモンを合成させた、奇妙な姿になっている。もちろん、預かり屋で繁殖させることもできない。
ゲーム全体を通しで見たら、英国らしい皮肉やブラックユーモアは控えめだが、化石ポケモンに対してはとことん"黒い英国面"を詰め込んだ。
彼らを生み出したウカッツ博士の傲慢で、不謹慎で、大ざっぱな仕事っぷり。
こういうのをサラッと流してしまうのが、実に英国的である。
そしてもう一つ、英国的な黒い点が、ウッウというポケモンだ。
彼は間抜けな顔をした、なんてことない弱そうなポケモンに見える。合計種族値も475だし、名前も発音しづらい。
ウッウは、特性「うのミサイル」という変わった特性を持っている。
ウッウが「なみのり」をするとHPが半分以上の時はサシカマスを、半分未満ならピカチュウを咥えてくるのである。
ピカチュウが捕食されそうになっている絵柄は衝撃的だったし、なら捕食されるのがサシカマスならいいのか?という問題提起をしてくるのである。
そしてこの点も、本編では特に言及もされない。
実に皮肉が効いた、ブリティッシュジョークなのである。
予想だが、この辺は英国人のジェイムス氏が、かなり意見を出したのではないだろうか。
英国面に理解を示したゲーフリの幹部達も、なかなかにクレイジーだと言える。
あとボールガイ。こいつも実にイギリス的なクレイジーさを感じた。
そのほか、RPGとしての強みと弱み
強み
- 見ていて楽しいグラフィック
- 英国(イギリス)的な世界観
- ダイマックスの、派手な演出
- BGM、特に戦闘時
- ワイルドエリア(一部オープンワールド)
- 人間キャラクターがかわいい
- UIの使いやすさが大幅に改善された
- 時間のかかるレベル上げなどがやりやすくなった
弱み
- バトルシステムの古くささ
- 視点移動ができない(ワイルドエリアのぞく)
- ローディングが少し長い
- マックスレイドバトルにあまり面白みがない
- 人間への言及が増えた分、それぞれのポケモンへの言及がいまいち足りない
どちらともいえない
- ストーリー、特にクライマックス付近
- 紋切り型のJRPGであること
- 一部の新ポケモンのデザイン
- レベル上げなどが簡単過ぎて、やや味気ないかもしれない