ポケモンウルトラサンムーン、ケケンカニの育成論
ヒゲ、腕毛、胸毛、すね毛……。これらはいくら剃ってもより強靭になって生えてきてしまう困り者だ。
髪の毛だけはいくら生えてきても困らないのに、なぜかそちらは生えず、ヒゲだけは濃いという人もいるだろう。
今回育成論を紹介するポケモンも、体毛が濃い悩みを抱えている。
そのポケモンとはケケンカニだ。
進化前のマケンカニ時代は毛など全く生えていなかったのに、進化した途端に体中から毛が生えてしまった。
本人は「どうしてこんなことに……」と思っているだろう。雪山でレベルを上げなければこんな悲劇は起こらなかったのに。
剛毛な体を手に入れて、見違えるほど強くなったのかと言われればそうでもなかった。
確かに氷タイプが加わり、Aが132族になった。
そのことで、他に類を見ない攻撃範囲+火力を持つポケモンにはなった。
だが耐性がひどい。素早さが遅い。しかも50族より遅いが、トリル下で最速を取れるほどの遅さではないという中途半端な遅さ。
そんな見た目も強さも散々な評価のケケンカニであったが、ずっとリベンジの機会を待っていた。
それが「ポケモン危機一髪!」という特殊ルールだ。
ケケンカニの詳細
種族値:H97-A132-B77-C62-D67-S43
タイプ:かくとう・こおり
特性:かいりきバサミ(相手の技・特性の効果でこうげきランクが下がらない)
てつのこぶし(パンチ系の技の威力が1.2倍になる)
いかりのつぼ(自分への攻撃が急所に当たった時、攻撃ランクが最大になる)
ケケンカニは、これまで某有名実況者を一度破ったことくらいしか、バトルでは話題にならなかった。
だが今回の「ポケモン危機一髪!」ではトリルエースとして活躍できそうだ。
岩タイプや草タイプが環境の中心となるであろうこのルールでは、格闘・氷タイプがとにかく刺さる。
トリル下で先手を取っているときの、WCS2017ルールにおけるアローラガラガラを思い出してほしい。Aガラガラはギガイアスやカビゴンさえいなければ、圧倒的な火力と技範囲で場を制圧できる。
そのAガラガラと似た動きが、危機一髪のケケンカニにもできるはずだ。
中途半端に遅い素早さが仇になるかもしれないが、それは検証していこう。
素早さ
トリルエースでの運用なので、当然最遅での採用が前提。
ケケンカニは今回参加できる最終進化形ポケモンの中で、下から14位タイの遅さという、実に中途半端な遅さだ。
遅い順に並べてみよう。
1位:S20
ギガイアス
2位タイ:S30
パラセクト
ヤドラン
ヤドキング
キマワリ
ウソッキー
マシェード
8位:S35
シロデスナ
9位:S36
ミノマダム草
10位タイ:S40
ヌケニン
ビークイン
ドサイドン
ダダリン
14位タイ:S43
ケケンカニ
アクジキング
このうち主に採用されそうなのは、ギガイアス、ヤドラン、マシェード、シロデスナ、ドサイドン、ダダリン、アクジキングくらいだろう。
だから実質は7位タイだ。
さらに、「アイスハンマー」の追加効果でSを一段階下げれば、ギガイアス以外のポケモンはトリル下で抜いている。
この中で特に厳しいのはヤドランだ。
トリル始動要員でありながらケケンカニのメインウエポンがどちらも半減され、エスパー技で弱点を突かれてしまう。
ろくなサブウェポンを持たないケケンカニには、突破が難しい相手だ。
最大打点は「しっぺがえし」だが、それでも確定2発なので、突破は隣に任せるしかない。
与ダメージ
ダメージ計算はすべてこちらのサイトを参照。
アイスハンマー(てつのこぶし補正あり)
A特化てつのこぶし補正有りアイスハンマーは、火力指数が36,360。
有名な指数、A特化130族の一致120技の指数36,000を"360も"上回っているぞ!
(百分率にすると1%分だけど)
2倍弱点
- H252プテラ 確定1発(171.1%〜203.2%)
- H252カプ・ブルル 確定1発(115.2%〜136.7%)
- HB特化カプ・ブルル 低乱数(6.3%)1発(85.8%〜101.6%)
- H252サザンドラ 確定1発(124.6%〜147.7%)
- H252ジャラランガ 確定1発(103.2%〜123%)
- HB特化エルフーン 確定1発(111.3%〜130.5%)
- HB特化トゲキッス 低乱数(37.5%)1発(88.5%〜106.2%)
- H252トゲキッス 確定1発(122.9%〜146.8%)
- A1段階ダウン H4ワルビアル 確定1発 (106.4%〜126.3%)
- H252ダダリン 確定1発(128.8%〜152.5%)
- HB特化マシェード確定1発(112.5%〜134.1%)
等倍
- H252バンギラス 確定2発(51.2%〜60.8%)
- H244 B4ギガイアス 高乱数(82%)2発(47.6%〜56.5%)
半減
- B4マニューラ 確定2発(55.1%〜64.8%)
- B4ゲッコウガ 確定2発(53%〜62.5%)
- B4シャンデラ 中乱数(54.7%)2発(45.9%〜54%)
- H252シャンデラ 確定3発(37.1%〜43.7%)
- HB特化ヤドラン 乱数5発(18.8%〜22.2%)
- H252ヤドラン 確定4発(26.2%〜31.1%)
インファイト or ばかぢから
火力指数は、てつのこぶし補正有りのアイスハンマーと全く同じ。
そのため、アイスハンマーの欄を見れば分かるものは省いている。
4倍弱点
H252ヨプのみ(格闘半減)持ちバンギラス 確定1発 (102.4%〜121.7%)
2倍弱点
H244B4ギガイアス 高乱数(75%)1発 (95.2%〜113%)
クラブハンマー
2倍弱点
B4シャンデラ 確定1発(102.2%~121.4%)
H252シャンデラ 確定2発 (82.6%~98.2%)
ギガイアスへの打点を考えると、Aはほぼ妥協の余地がなさそうだ。
例えばA実数値を200まで削るとインファイトorばかぢからでH244B4ギガイアスが62.5%の乱数まで落ちる。
201なら乱数は変わらない。努力値を削るなら、A244振りまでだ。
耐性・耐久
弱点は炎・格闘・飛行・エスパー・鋼・フェアリー。
半減は氷・虫・悪。
素早さが遅く、耐性が少なく、耐久がそこまででもないのに弱点が6つもあるのは、恐ろしく使いづらいポケモンのように思える。
だが心配はいらない。今回出場するのはそういうポケモンばかりなのだから。
それに多くのポケモンを確1で持っていけるのは前の与ダメで分かったと思う。
少し乱暴だが、トリル下で一撃で倒すのが前提なポケモンなので、トリル下で上を取られているポケモンの攻撃を1発耐えられれば、御の字ではないだろうか。
(相手のもう一体のポケモンは、ケケンカニの隣のポケモンで縛るのが前提という無茶な作戦)
特殊耐久
H228振りでC特化ヤドランのサイコキネシスが乱数1発(81.3%)。 98.5%〜116.4%
あとどれだけHに振ってもこの乱数は変わらず。
ならば残りを全部特防に振ろう。
するとH228D28振りとなり、C特化ヤドランのサイコキネシスが56.3%の乱数1発になった。だがこれでもまだ不安定だ。
私の考えではヤドランはサザンドラの「あくのはどう」を確定耐えするために、H252D28くらいまでは振ると見ているので、C特化にはできず、性格補正有りでC228くらいまでじゃないかと考えている。
それならばH228D28ケケンカニへのサイコキネシスが37.5%の乱数
、瀕死率41.41%まで減り、わずかばかりだが有利になる。
さらにケケンカニの努力値をH164D100まで振ってみたところ12.5%の乱数になった。
物理耐久
まず絶対に耐えなきゃ話にならないのは、キノガッサのテクニシャン補正マッハパンチだ。
A特化キノガッサのテクニマッハパンチが、さっき提示したH164ケケンカニには確定2発(72.5%〜87%)致命傷は負うが、何とか耐えられる。急所に当たらない運の良い人限定の話だが。
ちなみに、これに天候ダメージが加わっても、なんとか2回はギリ耐えできる。
あ、なんだか美しい調整に思えてきたぞ。
ということで、この調整でどうだ。
ケケンカニ調整案
性格:ゆうかん
個体値:31-31-31-x-31-0
努力値:H164,A244,D100
実数値:193-201-97-x-100-43
特性:てつのこぶし
確定技:アイスハンマー
優先技:インファイト or ばかぢから、まもる
選択技:クラブハンマー、いわなだれ、じしん、ワイドガード
特性はワルビアルを意識するならかいりきバサミだろうが、カプ・ブルルなどへのアイスハンマーが乱数になってしまうのは辛いので、基本はてつのこぶしで。
技は攻撃範囲が優秀なアイスハンマーが軸。
格闘技は、基本はインファイト。トリルが展開されていないときに縛られるのがつらいので、まもるも入れないと動きづらくなる。
サブウエポンはなくてもいい。シャンデラを意識するならクラブハンマー、怯みゲーをしたいならいわなだれ、ダブルダメージに期待のじしん。
確実性を取るならば、相手のいわなだれ、ねっぷうなど対策にワイドガードを入れるのが良いだろう。